オールオン4(All-on-4)は「1日で歯が入る」と紹介されることがありますが、当日に装着されるのは最終的な本歯ではなく、リハビリ用の仮歯です。初診から最終的な本歯の装着まで、トータルで約6〜7ヶ月以上を要します。この記事では、「1日」という言葉の正確な意味と、治療の全体像を解説します。
「オールオン4は1日で治療が終わる」は誤解
当日に入るのは最終的な本歯ではなく「仮歯」
顎の骨の状態が良好であれば、手術当日に固定式の仮歯を装着できますが、それは最終的なセラミックの「本歯(最終補綴物)」ではありません。当日に装着されるのは、硬質プラスチック(レジン)で作られた「仮歯(プロビジョナルレストレーション)」です。
手術直後の歯ぐきは、傷口が治癒する過程で形が変化します。歯ぐきの形態が安定してからでないと、適合精度の高い本歯を作ることはできません。「1日で歯が入る」とは、「手術当日に固定式の仮歯が入り、見た目が回復し、柔らかい食事が可能になる」という意味です。
治療全体にかかる期間は初診から約6〜7ヶ月以上
オールオン4の治療期間全体は、大きく3つのフェーズに分かれます。
- 第1フェーズ:手術当日の仮歯装着
- 第2フェーズ:インプラントと骨が結合するまでの治癒・リハビリ期間(約3〜6ヶ月)
- 第3フェーズ:最終的な本歯の型取りと装着
なお、初診・精密検査・治療計画の立案から本歯の装着完了までのトータル期間は、6〜7ヶ月以上になるケースが多くあります。治療のゴールは数ヶ月先ですが、初日から固定式の仮歯で生活できるため、歯がない期間を短縮できる点がオールオン4の特長です。
オールオン4の手術当日の流れとスケジュール
手術当日の一般的なスケジュールは以下のとおりです。
来院から仮歯装着・帰宅までのステップ
午前(来院・術前確認)
体調の確認と、最終的な治療計画のすり合わせを行います。
午前〜お昼(手術)
静脈内鎮静法(点滴で鎮静剤を投与し、半睡眠状態で治療を受けられる方法)を用いて、抜歯とインプラントの埋入を行います。所要時間は片顎で約2〜3時間が目安ですが、上下両顎を同日に行う場合は3〜4時間以上になることもあります。
午後(休憩・型取り)
手術後はリカバリールームで休憩していただきます。その間に、仮歯を作るための型取りを行います。
夕方(仮歯の装着・帰宅)
完成した固定式の仮歯を装着し、噛み合わせを調整します。注意事項の説明後、帰宅となります。
術後の痛み・腫れ(ダウンタイム)の目安
手術当日から数日間は、痛みや腫れが出ることがあります。ピークは術後2〜3日目で、その後1週間ほどかけて徐々に落ち着いていきます。処方された痛み止めと抗生物質を指示どおりに服用することで、痛みを軽減できます。当日は激しい運動や長風呂を避け、安静に過ごすことが大切です。
即日で仮歯が入る「適応条件」と入らないケース
事前の検査結果や顎の骨の状態によっては、当日の仮歯装着が見送られるケースも存在します。適応条件は厳格に判断されます。
成功の鍵を握る「インプラントの初期固定」とは
インプラントを埋め込んだ当日に仮歯を装着し、噛む力をかけることを「即時荷重」と呼びます。これを成功させるために不可欠な条件が、「十分な初期固定」です。
初期固定とは、ネジ状のインプラントを顎の骨に埋め込んだ直後に、骨の中でどれだけしっかりと固定されているかを示す指標です。手術中に専用の機器でインプラントの固定力(トルク値)を測定し、担当医が定める基準を満たした場合に、インプラント同士を連結して仮歯を装着します。なお、即時荷重に必要なトルク値の基準はクリニックや症例によって異なるため、詳細は担当医にご確認ください。
当日に仮歯が入れられないケースとその理由
次のような条件に当てはまる場合、十分な初期固定が得られず、当日の仮歯装着が見送られることがあります。
- 合わない総入れ歯の長期使用により、顎の骨が著しく吸収されている方
- 重度の歯周病で骨が大きく溶かされている方
- 骨粗鬆症の進行により、骨質が著しく低下している方。なお、骨粗鬆症の治療薬(ビスフォスフォネート製剤など)を服用中の場合は、骨質の問題に加えてインプラント治療自体の適応可否が問題になるケースもあるため、事前に内科・整形外科の主治医との連携が必要です。
初期固定が弱い状態で無理に仮歯を装着すると、骨の中でインプラントが動き、抜け落ちるリスクが高まります。
当日に歯が入らない場合のリカバリー対応
当日の固定式仮歯が見送られた場合でも、歯がない状態で帰宅することは原則としてありません。インプラントを歯ぐきの下に埋めて骨との結合を待つ間、お手持ちの入れ歯(または事前に用意した仮の入れ歯)の内面を柔らかい材料で調整し、使用していただきます。固定式の仮歯と比べると機能は限定されますが、インプラントの定着を優先するための措置です。
仮歯期間の過ごし方と重要な役割
手術当日に装着される仮歯は、本歯の精度を高めるためのリハビリテーション装置としての役割を担っています。
噛み合わせの調整とリハビリ機能
歯を失っていた期間が長い場合、顎の筋肉や舌の動きが変化していることがあります。仮歯は、新しいお口の環境に慣れるための「リハビリテーション装置」として機能します。数ヶ月間、仮歯を使って実際に食事や会話をすることで、自然な顎の動きを取り戻していきます。
また、歯科医師は定期検診を通じて、噛み合わせのバランスを細かく調整します。ここで蓄積されたデータが、そのまま本歯の設計に反映されます。
仮歯が割れることでインプラントを守る
仮歯期間中に、「プラスチック製の仮歯が欠けたり割れたりしてしまった」というトラブルが起こることがあります。
仮歯に使用されるレジン(硬質プラスチック)は、最終的なセラミックと比べて強度が低い素材です。そのため、無意識の歯ぎしりや硬いものを噛んでしまった際に、インプラント本体(人工歯根)に過度な力が伝わる前に仮歯が先に破損し、インプラントへのダメージを軽減する効果があります。万が一割れてしまった場合はご自身で直さず、すぐにご連絡の上で来院してください。
仮歯期間中の食事制限と注意点
オールオン4のメリットは「当日から食事ができる」ことですが、ステーキやフランスパンのような硬い食べ物は、仮歯期間中は避ける必要があります。
インプラントを長持ちさせる食事の工夫
仮歯期間中は、インプラントと骨が結合しようとしているデリケートな時期です。前歯で硬いものを強く噛み切る動作は、前歯部分に集中した力がインプラントを引き抜く方向に作用するため、避ける必要があります。
食事の際は、食べ物をナイフやハサミで小さく一口大に切り分け、奥歯で左右均等に優しく噛み砕くように意識してください。
控えるべき食べ物・適した食べ物リスト
手術当日〜最初の数週間は、噛まなくても舌でつぶせる「ソフトダイエット」が基本です。
| 分類 | 具体例 |
| 適した食べ物 | おかゆ、柔らかく煮たうどん、豆腐、スクランブルエッグ、ポタージュスープ、ゼリー |
| 控えるべき食べ物(硬いもの) | おせんべい、氷、ナッツ類、フランスパン |
| 控えるべき食べ物(噛み切りにくいもの) | スルメ、タコ、イカ、分厚いお肉、リンゴの丸かじり |
| 控えるべき食べ物(粘着性の高いもの) | キャラメル、お餅、ガム(仮歯が外れる原因になります) |
仮歯から最終的な「本歯」への移行プロセス
約3〜6ヶ月の治癒期間を経て、インプラントと顎の骨の結合が確認できたら、本歯への移行プロセスに入ります。
インプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)
インプラントが顎の骨にしっかりと結合する現象を「オッセオインテグレーション」と呼びます。定期検診では、レントゲン撮影や専用の機器を使用して、インプラントの安定度を数値で客観的に評価します。結合が不十分な段階で本歯に移行すると、インプラントの脱落や破損の原因となるため、慎重に判断します。
噛み合わせを再現する本歯の製作
インプラントの結合と歯ぐきの形態の安定が確認できたら、本歯を作るための精密な型取りを行います。
数ヶ月間かけて調整された仮歯の情報をそのまま歯科技工士に引き継ぎ、ジルコニアやセラミックといった耐久性と審美性を兼ね備えた素材で本歯を製作します。仮歯で噛み合わせに慣れているため、本歯装着後の違和感が少なく済みます。
オールオン4に関するよくある質問
Q. オールオン4は本当に1日で終わりますか?
A. 「1日で歯が入る」とは、手術当日に固定式の仮歯が装着されることを指します。治療がすべて完了するわけではなく、最終的な本歯が入るまでには骨結合期間(約3〜6ヶ月)を含め、初診からトータルで6〜7ヶ月以上かかります。
Q. 当日に仮歯が入らないケースはありますか?
A. あります。顎の骨が著しく吸収されている方、重度の歯周病で骨が大きく溶かされている方、骨粗鬆症が進行している方などは、インプラントの初期固定が十分に得られず、当日の仮歯装着が見送られることがあります。その場合は既存の入れ歯を調整して対応するため、歯がない状態で帰宅することは原則としてありません。
Q. 仮歯の期間中、食事はどうすればよいですか?
A. 手術直後から数週間は、おかゆ・豆腐・スクランブルエッグなど、舌でつぶせる柔らかい食事(ソフトダイエット)が基本です。おせんべいやナッツ類などの硬いもの、スルメ・タコなどの噛み切りにくいもの、キャラメル・お餅などの粘着性の高いものは仮歯期間中を通じて避けてください。食べ物はナイフやハサミで小さく切り、奥歯で左右均等に噛むことを意識してください。
まとめ:正しい知識を持ってオールオン4治療に臨みましょう
「オールオン4は1日で歯が入る」という表現は、手術当日に仮歯が装着されることを指しています。治療がすべて終わるという意味ではなく、最終的な本歯を入れるための「仮歯によるリハビリ期間のスタート」です。初診から本歯の装着完了までのトータル期間は6〜7ヶ月以上になるケースが多いことも、あらかじめご理解ください。
手術当日に仮歯が入るかどうかは、顎の骨の状態や手術中の「初期固定」の強さによって医師が安全を第一に判断します。仮歯期間中の適切な食事制限や定期的なメンテナンスを守ることが、長期にわたって安定した噛み合わせを維持することにつながります。
オールオン4の費用相場や保証制度の詳細、ご自身の骨の状態で即日対応が可能かどうかは、精密検査による診断が必要です。無料相談の24時間ネット予約を受け付けています。
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