美容点滴（美容注射）は、美容成分を直接体内に注入する施術です。
歯科分野においても期待できる効果があるため、治療の一環として導入する歯科医院も増えてきています。
しかし、どの美容点滴を受ければよいか、副作用はないのかなど、不安に思う方もいるでしょう。
本コラムでは、美容点滴の種類別にメリット・デメリットを紹介します。
美容点滴を受ける際の注意点や効果を実感しやすくするためのポイントについても解説するので、ぜひご参考にしてください。
目次
1. 美容点滴とは？
美容点滴や美容注射は、点滴や注射を用いて、血管内に成分を注入する治療法です。
直接体内に成分を注入するため、血中濃度を上昇させて全身に高濃度の成分を届けられます。
そのため、食事やサプリメントなどでは十分に摂取できない成分も、美容点滴ならば効率良く取り入れられます。
また、経口摂取よりも早く効果を実感できる点もメリットです。
現在では、美容・健康効果だけでなく、歯科治療の一環として美容点滴や美容注射を受ける方も増えています。
2. 美容点滴の種類別メリット・デメリット
美容点滴にはさまざまな種類がありますが、それぞれ特徴が異なります。
歯科治療の一環として導入されている美容点滴は、主に以下の6つです。
- 高濃度ビタミンC注射
- マイヤーズカクテル
- NMN点滴
- グルタチオン点滴
- プラセンタ注射
- ニンニク注射
これらの美容点滴のメリット・デメリット、注意点について詳しく説明します。
2-1. 高濃度ビタミンC注射
ビタミンC（アスコルビン酸）には、組織の維持や修復に欠かせないコラーゲンの合成促進効果があります。
そのため、歯科医院では抜歯などの外科的処置後の治癒促進、歯周病予防、健やかな歯ぐきの維持などを目的として、高濃度ビタミンC注射を導入しています。
ただし、G6PD欠損症の方は高濃度ビタミンC注射により溶血性貧血を起こすおそれがあります。
また、低血糖様症状にも注意が必要です。
ビタミンCとブドウ糖の構造が似ており、高濃度ビタミンC注射によりインスリンが分泌されて、低血糖のような症状が起きてしまうのです。
ビタミンCには利尿作用があるため、高濃度ビタミンC注射を受けると喉が乾きやすくなることがあります。
点滴の前後や点滴中はこまめに水分補給しましょう。
2-2. マイヤーズカクテル
マイヤーズカクテルは、人体に必要なビタミンB群・ビタミンC・マグネシウム・カルシウムなどの栄養素を注入する施術です。
気管支喘息やこむら返り、慢性副鼻腔炎などの改善にも効果があるといわれています。
歯科領域では、マイヤーズカクテルは歯周病の予防や外科処置後の治癒回復を目的としての施術が可能です。
また、神経障害性疼痛や口腔不定愁訴、金属アレルギーの症状などの改善も期待できます。
マイヤーズカクテルには、マグネシウムやカルシウムが含まれるため、急速に投与すると熱感を感じる場合があります。
また、心不全の治療薬（ジギタリス製剤）を服用中の場合は不整脈を生じる危険性があるため、必ず事前に申告しましょう。
2-3. NMN点滴
NMNとは、ナイアシンから体内で作られる「ニコチンアミドモノヌクレオチド」という成分です。
NMNは、寿命や老化に大きく関与する「サーチュイン遺伝子」を活性化させる成分として注目されています。
サーチュイン遺伝子の活性化により、美肌や疲労回復、ホルモンバランスの調整、集中力向上などが期待できます。
NMNはブロッコリーや枝豆などに含まれていますが、吸収率は加齢によって減少してしまうのです。
NMN点滴ならば、経口摂取より効率良くNMNを吸収できます。
なお、NMN点滴を受けると、頭痛やアナフィラキシーのような症状が出ることがあります。
2-4. グルタチオン点滴
グルタチオンとは肝臓などで生成されるタンパク質の一種です。
3つのアミノ酸からなる化合物で、生命維持に欠かせません。
また、パーキンソン病と深い関連があることでも有名です。
グルタチオン点滴は、肌のシミや色素沈着を目立ちにくくする効果が期待できるため、美容クリニックでは「白玉点滴」とも呼ばれています。
口腔内の色素沈着に対しても同様の効果があるといわれているため、歯科医院でも取り入れられています。
また、グルタチオン点滴には、重金属のデトックス（解毒）効果が期待できます。体内に蓄積した鉛や水銀などの有害重金属の除去や、金属アレルギーの症状緩和を目的として受けることも可能です。
グルタチオン点滴の副作用は非常に少ないといわれていますが、滴下速度や血管の状態によって、頭痛や血圧低下などの症状が出るおそれがあります。
2-5. プラセンタ注射
プラセンタ（胎盤）には、たくさんの栄養素が含まれています。
プラセンタ注射はもともと更年期障害や肝炎の治療薬として厚生労働省から認可を受けた製剤ですが、歯科領域でも有効性が報告されているのです。
プラセンタ注射により、歯周病予防や口内炎・顎関節症状の改善が期待できます。
さらに、アトピーや吹き出物などの肌荒れ、ストレスや肩こりなど幅広い全身症状の改善も見込めます。
現在のところ、プラセンタ注射による重篤な副作用は報告されていません。
ただし、プラセンタ注射を受けると、献血ができなくなる点には注意が必要です。
2-6. ニンニク注射
ニンニク注射は、ニンニクに多く含まれるビタミンB群とビタミンCを配合した薬液を注入する施術です。
ニンニクエキスを注入するわけではありません。
歯科領域では、口内炎や歯肉炎、顎関節症の予防を目的として行われます。
そのほかにも、疲労回復や風邪予防、美肌効果なども期待できる注射です。
副作用はほとんどありませんが、施術後に注射部位が赤くなったり硬くなったりする場合があります。
3. 美容点滴の施術を受ける前に注意すべき点とは？
美容点滴は、経口摂取よりも効率良く有効成分を体に取り込める画期的な施術です。
食事やサプリメントからでは十分な摂取が見込めない成分も、より早く、より多く体中に行き届かせられます。
ただし、美容点滴の種類によってはアレルギー症状が起こったり、持病や体質によっては施術自体を受けられなかったりする場合もあります。
持病のある方や妊娠中・授乳中の方は、施術前に歯科医師によく相談し、十分なカウンセリングを受けましょう。
4. 美容点滴の効果を実感しやすくするポイントは？
経口摂取と比べて、美容成分を効率的に吸収できる美容点滴ですが、1回の施術で十分な効果を発揮するわけではありません。
効果をより実感しやすくするためには、継続して定期的に美容点滴を受けることが大切です。
施術を受ける適切な間隔は、美容点滴の種類やお悩みの症状によって異なるため、自分にとってベストなタイミングを歯科医師と相談しましょう。
5. まとめ
美容点滴は治療時間も短く、ダウンタイムも少ない施術です。
美容効果だけでなく歯科治療においても効果が期待でき、気軽に受けやすいメリットもあります。
しかし、美容点滴の種類によっては副作用が起きる場合もあるため、事前にリスクについてもよく理解しておいたほうがいいでしょう。
メリット・デメリットを十分に把握したうえで、自分に合った美容点滴を受けましょう。
歯科医院での美容点滴に関するよくある質問
Q.美容点滴は保険適用されますか？
A.美容点滴は保険適用ではありません。自由診療となるため、全額自費負担です。
Q.美容点滴と美容注射の違いは何ですか？
A.美容点滴は美容注射に比べて施術時間が長くなりますが、より多くの美容成分を注入できます。
そのため、美容点滴のほうがより効果を実感しやすいといわれています。
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